DX パートナー対談 【藤井ビル×SQUEEZE】〜なぜ空いていた元ディスコのフロアを再生させて、エンタメ型ホテル「泊まれるシアターパーク」を創ったのか〜
こんにちは、SQUEEZE広報チームです!
今回から「DXパートナー対談」と銘打ち、ホテル運営企画やソリューション連携にて、業界のDXを推進していくパートナー企業の方々とCEO舘林の対談をお送りします!
本記事にご登場いただくのは、1965年の創業以来、マンション、オフィスビル、テナントビルの賃貸を核とする札幌随一の総合不動産大手として、そのまちづくりをリードしてきた藤井ビル・藤井將博社長です。
SQUEEZEは藤井ビルが札幌すすきのに所有する「F-45ビル」3階の1フロアをホテル「シアテル札幌」として運営しております。
”タマゴのビル”としても親しまれているすすきののシンボル的なビルである「F-45ビル」3階をホテルに
― 本日はよろしくお願いいたします! 最初にお2人の出会いについて教えてください。
SQUEEZE代表・舘林(以下、舘林):私自身が北海道出身ということもあり、共通の知人に藤井さんを紹介していただいたのが最初のきっかけでしたよね。
藤井ビル・藤井社長(以下、藤井):そうでしたね。出会った当時舘林さんはまだ20代で、若くてエネルギーが溢れていて、ビジョンも明確だったので、驚きとともに印象に残りました。
舘林:ありがとうございます! 嬉しいです。私も北海道民として藤井ビルのことはもちろん存じ上げていましたし、事業を通して北海道のまちづくりに貢献されている姿を見てきましたので、お会いできてとても光栄でした。
― その後、シアテル札幌の運営をSQUEEZEに依頼いただくまではどのような経緯だったのでしょうか。
藤井:当社が運営を手がける「HOTEL POTMUM」の運営について相談をさせてもらっている中で、定期的に意見交換をしていました。そんな中舘林さんとPOTMUMでランチをしていた時に、当時まだ空きがあり構想段階だった「F-45ビル」3階を見に行ってみようかという話になったんです。それで一緒に足を運んだことが最初のきっかけだったと思います。
舘林:中を見てすぐに「これは面白いことができそうだ」と思いました。もともとディスコとしても使われた、天井高約5m、約500㎡の広々としたフロアが特徴で、この空間を宿泊と掛け合わせて、何か新しい体験価値を創ることができないかと考えました。
(入居前、当時のF-45ビル)
藤井:ありがたいことに複数の飲食店から入居を希望いただいていたのですが、3階の広い空間を生かして、何か新しいことができないかと私も考えていました。ビルが建って30年の節目でもあり、その価値をより高め新たな客層を呼び込んでいくためにも、今までの延長線上ではいけないのでは、という想いがありました。
(現在のF-45ビル上部 藤井ビルとともにTheatelのロゴ看板が設置されている)
ホテル×エンタメ「泊まれるシアターパーク」誕生へ
― そこから現在の「シアテル札幌」の構想が始まっていったわけですね。
舘林:1フロアなので一般的なビジネスホテルのような構造にはできない。むしろ天井高約5m、約500㎡という特徴を生かすことによりどんな新しい価値が生み出せるかと考えた結果、中心に巨大なスクリーンを備えたラウンジを設け、客室はカプセルタイプとし、「イベント×宿泊」で仕掛けていく形が案として上がってきました。
(シアテル札幌レイアウト図 中央に余白を設けて、囲むように宿泊スペースがあるモデルに ※ イメージ・パースは再生建築研究所提供)
(カラフルなカーテンで仕切られたカプセルルーム 高さ約2メートルあり、ゆとりのある造り カプセル内で立つこともできる)
藤井:普通のホテルでは面白くないというのは共通の認識として最初からありましたね。フロアの中心にスクリーンを置くのは、宿泊にとどまらないホテルの使い方として可能性がありそうだと感じました。「F-45ビル」の他のフロアには飲食店がたくさん入っているので、例えば企業の研修合宿などで客室およびラウンジスペースを利用してもらい、食事や飲み会では同じビルの中の飲食店を利用、またホテルに戻って研修再開のようなスタイルでも訴求できるのではと構想していました。
舘林:実際に運営が始まってからも、飲食店の方々と連携してケータリングを行うなど、ビル全体にどのような波及効果が出せるかも重要なポイントとして考え続けています。
コロナ禍で立ちはだかる大きな壁 それでも事業を続ける理由
― シアテル札幌がオープンした2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大によって業界全体が苦難の時を迎えました。その最中でのオープンでしたが、当時を振り返ってみていかがでしょうか。
舘林:コロナの影響は想定以上でしたね。緊急事態宣言が明けたタイミングで開業にこぎつけたものの、そこからまた度重なる緊急事態宣言、札幌の街の人手も激減してしまい、藤井さんとも何度もどのように乗り越えていくべきかという話をしました。
藤井:飲食店で美味しいものを食べて、そのあとホテルでの宿泊を楽しんでいただくというベースとなる楽しみ方自体が、コロナ禍によって大きく制限されていまい、これは参ったと正直思いました。
舘林:少し方向転換をし、「泊まれるシアターパーク」というコンセプトを全面に打ち出した、一棟貸し切りプランなどを展開してきました。不特定多数で集まる場には行きづらいけれども、同じコミュニティに所属する限られたメンバーで集まって何かをしたいというニーズが引き続きあることは感じられていましたし、大きなスクリーンを利用して、リモートで各地をつないでのイベントを開催するなど、コロナ禍だからこそ訴求できるホテルの在り方を模索してきました。
藤井:短期的には、まだまだ厳しい状況ではあります。ただ、シアテル札幌の開業により今まではF-45ビルを訪れなかったような若者やインバウンドなど、新しいターゲット層にその存在やエリアの楽しみを知っていただけるチャンスが増えていることは確かです。「まだこのビルが本領発揮できていない」というのが悔しい部分ですね。開業から1年が過ぎ、ようやく街に人出も戻り始めている状況なので、ここから改めて「F-45ビル」を中心とした街の活性化につなげていきたいと思っています。
藤井ビル×SQUEEZEで描く未来
― Withコロナ時代に突入し、少しずつ形を変えながらも両社でのチャレンジは続きます。今後の展望について教えてください。
舘林:当初は宿泊客の半分ぐらいが外国人観光客という想定で、「宿泊場所」としてある程度需要を獲得できると考えていましたが、コロナ禍で方針を変えざるを得ない状況になりました。ただし、この逆境をチャンスに変えて、プロスポーツチームと連携してパブリックビューイングの企画を行うなど、空間の価値をどのように高め地域活性につなげていくかという問いに向き合うことができています。市場が回復してきたとしても、このホテル×エンタメの空間利用の仕方は、もっともっと訴求していきたいです。
(パブリックビューイング開催時の様子)
藤井:まだ多くの人が集まれる状況は少し先になるかもしれませんが、企業研修やイベント開催での貸し切り利用は引き続き推進していきたいですね。また、藤井ビルとしてもホテル企画、運営を事業の柱として育てていきたいと考えています。「HOTEL POTMUM」「シアテル札幌」に続く新規開業も計画していますが、それぞれのエリアに合わせて、地域に対してどのような価値を出せるかという観点を重視して開発を進めていく予定です。
舘林:SQUEEZEとしては、藤井ビルの運営パートナーとして、具体的に新規案件や開業準備に携わらせていただくことはもちろん、「不動産・宿泊管理」の領域でいかにスムーズなオペレーションを構築できるかという「DX」戦略全体にも伴走していきたいと考えています。現在シアテル札幌では当社開発の運営管理システムである「suitebook」やモバイルチェックイン機能を活用することにより、品質を落とすことなく、より省人化されたスムーズな顧客対応が実現できるようになってきています。そういったノウハウをもとに今後の展開も力強くサポートしていけたらと思います。
― 札幌を拠点に、両社の連携で描く世界観にワクワクします! 最後に、お二人からのメッセージをお願いします。
藤井:藤井ビルは創業から60年以上が経ち、私は3代目として先代の想いを引継ぎ現在に至ります。当社の発祥がここ「すすきの」ということもあり、すすきのエリアには特に想い入れがあります。「すすきのの発展に貢献せよ」というのが父の遺言でもありましたからね。SQUEEZEとともに、アフターコロナへ向けて守りではなく攻めの姿勢でホテル事業を創っていくことで、将来は札幌中心地、ひいては北海道全体の街づくりにも貢献できるような企業を目指していきたいと思っています。
舘林:今回はこのような対談の機会をいただき本当にありがとうございました。私も北海道で生まれ育った身として、地元の発展に貢献したいという気持ちは常に持ち続けています。藤井ビル×SQUEEZEで、まだまだ色々と仕掛けていきたいと思いますので、是非今後ともよろしくお願いいたします!