DXパートナー対談【STATION Ai×SQUEEZE】 〜スタートアップにおけるDX推進と地域活性化の未来~
2024年12月16日、国内最大のオープンイノベーション拠点「STATION Ai」の最上階にオープンしたホテル「Minn STATION Ai Nagoya」にて、SQUEEZE代表の舘林真一とSTATION Ai代表兼CEOの佐橋宏隆氏による対談セッションが実施されました。
「DX推進と地域活性化の未来」と題し、地域社会と連携したホテル運営の可能性や、技術革新がもたらす新しい宿泊体験の在り方について、具体的な取り組みと今後の展望が語られました。
■ライフ・イノベーション施設を目指して
——「STATION Ai」は国内最大のオープンイノベーション拠点として注目を集めていますが、その場所にSQUEEZEがホテルをオープンした意義について教えてください。
SQUEEZE代表・舘林(以下、舘林):ホテルには多くのイノベーションのポイントがあると考えています。チェックインから滞在中、そしてチェックアウトまで、例えば設備や家具、電化製品に至るまで、さまざまなトライアルができる環境でありながら、それを実証実験に活用できるホテルがほとんどありません。SQUEEZEでは、ライフスタイル関連のイノベーションを加速させるため、「STATION Ai」に入居する企業への支援を行い、実証実験の場を提供したいと考えています。
「Keep On Changing」を運営コンセプトとして、変化し続けながら新しい「暮らし」をデザインするライフ・イノベーション施設を目指しています。
■Suicaスマートロックによりゲスト体験をさらに向上
——「Minn STATION Ai Nagoya」の特徴について教えてください。
舘林:自社ホテルブランドである「Minn」はキッチンやランドリーなどの居住機能を備え、ご家族やグループでも1部屋に「みん」なで宿泊いただけることを特徴としたアパートメントホテルです。加えて、自社開発のセルフチェックインシステムを導入することや、ゲスト対応はクラウド運営チームが遠隔サポートすることで、フロント業務の省人化を実現しています。
今回、セルフ型チェックイン機「suitebook KIOSK」を自社開発し、「Minn STATION Ai Nagoya」に導入しました。SQUEEZE運営ホテルとして初めての導入となり、Suicaスマートロックとの連携により、最短20秒でチェックインが可能となりました。
ゲストはご自身のSuicaをチェックイン時にする登録だけで、そのままルームキーとして利用することが可能です。これにより、鍵の受け渡しや返却が不要となり、チェックインからチェックアウトまでの滞在をよりスマートでスムーズにすることを実現しました。
※2022年JR東日本グループのスマートホテルブランド「B4T」における初の試みとして、Suicaスマートロックと連携したホテル管理システムを導入しました。このシステムには、SQUEEZEのクラウド型ホテル管理システム「suitebook」が採用されており、JR東日本グループとの共同開発で約2年をかけて実証実験を行い、実現に至りました。
舘林:ホテル業界では人材不足が課題とされていますが、私たちはこれを「人材不足」ではなく、業務のアロケーション、割り当て不足の問題だと考えています。この建物内でのみ働くとなると、時間や場所に制約が生じます。しかし、SQUEEZEのクラウドレセプションメンバーは、アメリカ、ヨーロッパ、カンボジアなど、国内外のさまざまな場所からフロント業務をサポートしています。
そのような対応を「クラウドレセプション」と呼んでいますが、全国そして世界中から、日本語・英語対応可能なクラウドレセプションにより、24時間遠隔でサポートしています。SQUEEZEは全国にある32施設のホテルを、すべて「クラウド運営ソリューション」を活用して管理・運営しています。
■【対談セッション】
SQUEEZEの紹介に続き、今回のSTATION AiとSQUEEZEのコラボレーションについて詳しくお話を伺いました。両社の協力によって実現した取り組みをテーマに、STATION Ai代表の佐橋宏隆さんとSQUEEZE代表の舘林が対談を行いました。
——まずはSTATION Aiの佐橋さんから「Minn STATION Ai Nagoya」の印象など、運営を開始してみての率直なご感想をお聞かせいただけますか?
STATION Ai代表・佐橋宏隆氏(以下、佐橋):STATION Aiとしては、非常に良いスタートを切れていると感じています。10月31日のグランドオープン時点で所属するスタートアップ企業数は約500社、パートナー企業数は約200社となりました。
オープニングイベントだけにとどまらず、その後も連日さまざまなイベントが開催されています。約200名が収容できる大きなホールがあり、3階以上には入居者の方々が利用できる小規模なイベントスペースもいくつかあります。これらの場所では、連日複数のイベントが常に行われており、人の出入りが結構多い状況です。
例えば今日で言えば、沖縄からスタートアップ支援に関わる関係者の皆さんが一行でいらっしゃっていました。その中で、「昨日このホテルに泊まった」とお話されていて、とても満足されていた様子でした。国内外からさまざまなイベントや出張で多くの方が訪れるため、この施設の7階にホテルがあるのが、われわれにとってもすごく強みになっていることを改めて感じていますね。
—— 舘林さんは佐橋さんのお話を受けて、この1か月の手応えはいかがですか。
舘林:オープン前は、名古屋でこういったタイプの宿泊施設が受け入れられるのか、わくわくする気持ちと同時に不安もありました。しかし、本当に多くの方々に興味を持っていただき、オープン当日から予約が一気に入る状況となりました。これはやはり、STATION Aiの建物やコンセプトの魅力によるところが大きいと感じています。また、日本国内のお客様だけでなく、海外のお客様が多いのも特徴ですね。ちなみに、Station F(パリにある世界最大級のスタートアップ集積施設)を参考にされたと伺いましたが。
佐橋:そうなんです。Station Fには、入居しているスタートアップが一定の要件をクリアすると利用できるレジデンスがあります。私たちは「STATION Ai」をアジアにおけるオープンイノベーションの聖地にしたいと考えています。海外からさまざまなスタートアップに来てもらい、協業のプロジェクトを密に進めてもらいつつ、夜はここで宿泊できるよう、ある程度の長期滞在が可能になると理想的ですね。レジデンス自体はありませんが、Minnにはキッチンがあり、長期滞在にも対応できるホテルなので、オープンイノベーションのプロジェクトを進めるには非常に相性が良いと思います。
舘林:思った以上に合宿ニーズがありますね。さまざまな企業が夜な夜な開発をしたり、来年の戦略を練ったりするときに、4人~6人で宿泊もミーティングもできる場所ってなかなかないと思うんです。でも、実際にそのような形で利用していただいて、すごくありがたいと感じています。経営合宿やITプロセスの開発合宿ができるような設備を整え、そして海外の方にも喜んでもらえる施設として企画していたので、現在運営していて手応えを感じています。
■「STATION Ai」と共に描く、新たなホテルの可能性
—— 今後、具体的にやってみたい実証実験や、パートナー連携はありますか。
舘林:STATION Aiに入居するスタートアップや学校、研究機関、企業と連携し、ホテルを活用した研究開発の推進やAI活用、サステナブルな取り組みなどを通じて、新たな宿泊体験を提供していきたいと考えています。具体的には、客室にテーマ別のコンセプトルームを設け、SQUEEZEのソリューションやIoTのインテグレーションを体験できる場を提供します。また、フロントやコミュニティスペースでは、まだ世に出ていないプロダクトを試せる場として活用できる空間づくりを進めていきます。
Minnはキッチンが完備され、1LDKや1Kの住居スペースのような部屋となっているため、ホテルとしての実証実験だけではなく、住宅としてのコンセプトでも活用できます。例えば、人感センサーを使って部屋の照明をシームレスに調整し、快適に滞在できる仕組みを作ったり、IoTやスマートロック、スマートミラーなどをさまざまな部屋で体験していただけます。ホテルは寝ている時間も含めると接触時間が長いので、その点を活用した取り組みをスタートアップと進めることができたらとても面白いと思います。
SIXPADやReFaのメーカーであるMTGさんにご支援いただき、ReFaルームでは、全てのReFa商品を体験することができます。ゲストの生の声を、1日滞在または1週間滞在している方から直接聞ける機会はなかなかないので、非常に貴重だと思います。
ー佐橋さんからこういうアイデアを入れたら、というような提案があればぜひお聞かせください。
佐橋:そうですね。実はやりたいと思っていることがあって、スタートアップ業界には「スタートアップウィークエンド」というイベントがあります。これは、金曜日の夜から日曜日までの2日半で起業を体験するもので、実際にそこから多くのスタートアップが生まれています。その「スタートアップウィークエンド」のオープンイノベーション版のようなイベントをぜひ開催してみたいと思っています。企業とスタートアップが、数時間ではなく、もっと長い時間をかけて協業を深めていく、宿泊できるからこそ実現できるプログラムが作れるのではないかと考えています。
例えば、大企業とスタートアップが集まって、1週間で何かを形にするような取り組みです。大企業は意思決定が遅いとよく言われがちですが、この方法なら意外と早く答えが出せると思うので、そんなことにも挑戦したいです。また、ハッカソンのような形式ともとても相性が良いと感じています。
■「日本一のオープンイノベーションホテル」を目指して
——今後に向けたビジョンについて教えてください。
舘林:まだオープンして2カ月ですが、オペレーションも整ってきましたので、来年は一気に、日本一のオープンイノベーションホテルの拠点にしたいと思っています。「ホテルで実証実験をしたいなら、ここに来てください」と言える場所を目指し、どんどん挑戦を重ねていきます。さまざまなスタートアップと協力し、さまざまな取り組みを実現して、それをどんどんリリースしていきたいです。
佐橋:ホテルの中で実証実験ができる場所はほとんどありませんので、舘林さんのように積極的に取り組もうとしてくださるのは非常に心強いですね。われわれとしてもスタートアップを呼びやすくなります。MTGさんはこの地域で生まれた、かつてのスタートアップの一例ですが、新しい宿泊体験や滞在体験を提供するスタートアップが、またここに集まってくるような流れを作りたいと思います。SQUEEZEさん自身も、日本における新しい宿泊体験を生み出している存在なので、そうした取り組みを一緒に盛り上げていけると、非常に面白いと思います。
舘林:さまざまなハードを設置し、滞在型のタッチポイントを活用することで、いろいろな取り組みが可能です。例えば、チェックイン時にチャットツールを導入したり、マーケティングツールを組み込んだり、クラウドシステムやIoTガジェットなど、ハードとソフトの両面から新しい試みを展開できるんじゃないかと考えています。
今回、このような取り組みをPFI(Private Finance Initiative:民間資金等活用事業)の枠組みで実現できたのは、本当にSTATION Aiの皆さん、そしてソフトバンクグループさんのご尽力によるものです。今後、このモデルが地方における成功例として広がっていくといいですね。県の施設として、こういったイノベーションを推進してくれる許容度とオープンな姿勢があれば、自治体の研修センターや建物の運営の仕方が変わるんじゃないかと思っています。これからは自治体の方々もしくはDMO、観光協会の方々にも来ていただいて、こうした取り組みが自治体の施設でもできるんだということを発信していきたいと考えています。
佐橋:その発信、ぜひ一緒にやらせてください!
ー対談後には、Minn STATION Ai Nagoya の内覧会も同時に開催し、多くのメディアの方々にご参加いただきました!
内覧会では、最新の宿泊体験を提供する Suicaスマートロックのチェックインについてご紹介しました。
これまでにない新しい宿泊体験が実現する仕組みやその魅力について、実際の導入事例を交えながらお伝えしました。
メディアにも取り上げていただいております。
是非、以下のリンクからご覧ください!
📍日本経済新聞
📍中京テレビ・ZIP!ローカルニュース内にて
📍愛知テレビ・5時スタにて
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